入金が最速だった男
【ミニチャンプス ザウバーC34 M.エリクソン 2015】
雨で速い、市街地で速い、予選で速い、など最速ドライバーが集まるF1においても一芸に秀でたドライバーは数多くいましたが、彼はその入金の速さで資金難で困窮するF1を渡り歩きました。
エリクソンがデビューした2014年、当時のF1はリーマンショックを引きずるスポンサー不足と高価なPU導入という二重の資金難に陥っていました。数多のペイドライバーが資金を武器に名乗りをあげ、チーム側も足元を見て要求を吊り上げる一方、ペイドライバー側も分割払いや出来高払いなどの条件対応で応戦。結果、質の悪いドライバーが増えた一方でチームの財政は改善しないという泥沼の状況に陥っていました。
そんな中、エリクソンはその確かな入金力で重宝されます。決して持ち込み金額が最多ではなかったものの、チームが要求した期日にしっかりと入金をしてくれるということでチームからの支持を勝ち取りました。速いわけではなくミスも多いドライバーでしたが、盤石のシートで経験を積んだことで終盤には連続ポイントが獲得できるまでに成長しました。
マシンのカラーリングはチームメイト、ナッセのスポンサーによるものですが、スウェーデンカラーのエリクソンのヘルメットが良く似合いますね。前年までのグレーに比べると幾分華やかになりましたが、エリクソン・ナッセというWペイドライバー体制をもってしても財政問題の抜本的な解決には至らず、チームは自転車操業を続けていきます。
成績面で彼がもたらしたものはわずか数度のポイント獲得ですが、ザウバーというチームを存続させたことは偉大な功績でしょう。彼の功績でチームはアルファロメオとの提携に成功し、フェラーリ系育成チームとして安定した地位を築きました。最後の年には将来のチャンピオン候補と目されるルクレールとタッグを組み、彼の速さに影響を受けたかのように安定感を見せ立派な中堅ドライバーに成長。最後はフェラーリ勢にシートを奪われてしまいますが、アルファロメオのブランドアンバサダー兼リザーブドライバーとして、表彰台すらないドライバーとしては破格の待遇でレギュラーシートから退きました。
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