アルピーヌ A524 P.ガスリー

アルピーヌ・ルノー2024

F1に特効薬はないとは言うけれど

【ミニチャンプス アルピーヌA524 P.ガスリー 2024】

開幕前のプレシーズンテストから不穏な空気だった2024年のアルピーヌ。開幕戦の予選で1秒近い大差の最後尾という悪夢のスタートを切りましたが、まさかまさか、終盤にはW表彰台を獲得するまでに復活しました。

開幕直後のアルピーヌはそれはもうひどいもので、身売りの噂もあってまともにリソースがつぎ込まれていないであろうことが外から見てもわかる惨状でした。前年両ドライバーが3位を獲得したチームがわずか1年で開幕5戦連続無得点とはなんとも無残な成績で、「ここまで急に失速するものか……」とびっくりしたほどです。

そんな最中、ヨーロッパRdが始まった直後にフラビオ・ブリアトーレがチームに復帰します。F1でこの人ほど賛否両論あるスタッフはいないと思いますが、個人的には何をしてでも勝利を目指すトチ狂ったF1が好きなので結構好意的。無論クラッシュゲートは限度を超えていたと思いますが、彼の復帰以降チームは大規模なリストラを敢行しドライバー管理も徹底。オコンは過激なチームメイトバトルを、ガスリーは遅刻癖を叱られ堅実に連続入賞を果たすチームになったのは実際かなりすごい手腕でしょう。

重量問題に悩まされレース毎にカラーリングがコロコロ変わったこのA524。開幕時点のこのモデルで既にアルピーヌ感がほぼ無いのですが、ここから数戦でカラーリングがさらにそぎ落とされていきました。重量問題に糸口が見えた中盤以降は一転してノーズが鮮やかなブルーに彩られるなど、変化の最も激しいマシンでしたね。

ブラジルGPのW表彰台による大量得点でコンストラクターズ6位に返り咲き、ワークスチームとしての面目を最低限保ったアルピーヌ。個人的ベストエピソードはメキシコGPでのガスリーの遅刻への叱責で、それを見たオコンやドゥーハンまで翌日から早く来たというのだから面白いです。そして事はそれに留まらず、その罰として参加させられたプライベートテストではドゥーハンのベンチマークとして利用、彼の期待値が高くないとわかると早々にコラピント確保に動くなど、一つの出来事を期に連鎖的に利益を生み出す手腕には感服いたします……。

初のタイトル獲得から30年経っても重宝されるブリアトーレがすごいのか、30年経っても彼頼みのこのチームがやばいのか……。こうした豪傑なチーム代表ってなかなか現れないので、実はドライバーより貴重だったり。

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