「アロンソ」健在
【ミニチャンプス アルピーヌA521 F.アロンソ ハンガリーGP 2021】
2018年以来3年振りとなったF1復帰初年度、最初はマシントラブルが多く結果が出なかったものの、徐々に成績を上げこのハンガリーGPではチームに勝利を届ける大健闘を見せました。
マクラーレンで低迷した4年を経て2018年に失意の引退となったアロンソ。しかしその後もレースへの情熱は失われることなくインディ500やダカールラリーなど精力的に活動を継続していましたが、やはりF1に敵うレースはないと移籍したリカルドの後任として古巣のルノーからリブランディングしたアルピーヌよりF1復帰を果たしました。とても嬉しかったのですが、その熱意は常々ニュースになっていたのでそれほど大きな驚きはなかった不思議な気持ちだった記憶があります。
シューマッハ・ライコネンに次ぐ大物の復帰ということで期待が高かったものの、当時結果を残したライコネンとは異なり若くなかったので正直どうなるか心配な面もありましたよね。それにレース巧者とはいえ最後に競争力のあったマシンに乗ったのは2013年と遠い昔で、グリッド上位でどれだけ戦えるのかは結構疑問符でした。ところがこのハンガリーGPではチームメイトのオコンに勝利を届けるメルセデス・ハミルトンとの名バトルを繰り広げ、アロンソここにありという見事なカムバックを成し遂げました。
その腕の衰えぬ様を堂々と見せつけてくれた嬉しさはもちろん、戦った相手が永遠のライバルであるハミルトンだったのも素晴らしい点でした。2021年になってこの二人がコース上で戦うところを見られるなんて、昔からのファンとしては夢のような時間でしたね。マシンは圧倒的にメルセデスが優位だったものの、低速のコース特性を活かした巧みなブロックはこの年のベストバトルとなりました。
アロンソの大健闘でハミルトンが首位に追いつく時間が無くなり、オコンの初優勝のこの上ないアシストとなりました。レース後にオコンの勝利を嬉しそうに迎える姿は毒が抜けたようで、彼の新しい一面を見れたことも嬉しかった記憶があります。そんな「アロンソ変わったねぇ」という場面もあった一方で、このレースを観た多くの人の感想が「アロンソが復活した」ではなく「アロンソはやっぱり速かった」だったということが彼への最大の賛辞でしょう。結局巡り合わせが悪かっただけで、彼はずーっとトップレベルにあったことが証明されたレースなのでした。
そんな彼が初優勝したのも同じくこのハンガリーGPでした。この優勝から貪欲に勝利を求め勝てなければ露骨にチームをも批判してきた彼が、この地で同僚の初優勝を称えるのは隔世の感がありましたねぇ……。
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