デビュー戦ファステストからの長い旅路

【ミニチャンプス ウイリアムズFW28 N.ロズベルグ 2006】
デイモン・ヒル以来のワールドチャンピオンを父に持つドライバーとあって注目を集めたニコ・ロズベルグ。期待にたがわぬ走りでデビュー戦ファステストラップを記録しますが、その後の栄冠までは苦難の道が待っていました。

F1直下のGP2初代王者として挑んだこの年の開幕戦バーレーンGP、ロズベルグはデビュー戦でファステストラップを記録して特別1/18モデルがリリースされるなど一躍注目の的となりました。
続くマレーシアGPでは上位勢の失策を尻目に予選3番手を獲得し、その速さは本物だろうと誰もが感じるようになります。

しかしこの年からワークスパートナーのBMWを失った影響は大きく、ウイリアムズは相次ぐトラブルでシーズンを通して2台完走わずか4回という致命的な信頼性不足に悩まされることになります。
そんな状況に焦りがでたか、終盤ブラジルGPでは同僚のウェバーに追突するなどルーキーゆえの荒い部分も多々露呈することになりました。

この「FW28」はとにかく完走できなかった車という以外の評価が難しいですよね。この年から禁止されたV10を調整して使用した新規チームのトロロッソ以外では、ウイリアムズは既存チームで唯一のコスワースユーザーでした。
この頃にはもう各社のエンジンに性能差はほぼないと言われていましたが、それでもメーカーワークスとコスワースカスタマーでは雲泥の差があることを知らしめた一台です。この頃のエンジン開発競争もなかなか熾烈だったんですねぇ……。

とにかくマシンにトラブル続きだったので、上述の開幕戦FLからマレーシアGPで予選3位を記録したところまでが彼のこの年のハイライトでした。以降は見せ場がほぼなく評価が下がるどころか存在感が薄まる状態でしたよね。
そして翌年には宿敵ハミルトンがデビューし、彼が受けるはずだった注目は全て持っていかれてしまいます。以後10年間もの、ワールドチャンピオンへの長い修行が始まるとはこの時誰も思いもせず……。
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