心惹かれるということ
【スパーク KCMG スーパーフォーミュラSF23 福住仁嶺 2023】
昨年KCMGチームを引っ張る大活躍を見せた福住選手。個人的には22-23年と1台体制のスリーボンドで苦戦しているな、という程度の印象しかなかったのでこの実力にはとても驚きました。
ホンダからトヨタへ移籍初年度となった2024年シーズン。開幕戦で苦戦する可夢偉選手に対して力強い6位入賞を果たし、「あれ、この人結構速い」とすぐに感じることとなりました。現地観戦した第2戦オートポリスでも可夢偉選手を上回り、負けて悔しいというより完璧に週末を進めないと勝てないんだと感じる手ごわいチームメイトだと思いましたね。
そんな福住選手に私が心惹かれたのはオートポリス決勝後の無線を聞いてからでした。チームからの無線トラブルが直らないから諦めてほしいというメッセージに対し「諦めてたら一生勝てない、勝ちに来ているんでしょ」という力強いコメントが印象に残っています。その後富士でポールから優勝をふいにしたピットミスに対しては冷静に「自分の停車位置も悪かった」と伝えるなど、本当に強い意志でこのチームを変えに来ているんだなと感じ一瞬でファンになりました。
ホンダからトヨタへの移籍ということで大きなチャンスである一方、ラストチャンスにもなる大事な転機だったわけですが所属することになったのはKCMGという当時微妙なチームでした。入賞はあれど小林可夢偉一本打法のような状態でミスも多かったわけですが、それでも腐らず着実に問題解決を進め最後は表彰台にまで返り咲き、2024年は本当にこの人が原動力になってチームを変えたなと感じることができましたよね。
ブルーのマシンに目立つ蛍光イエローのヘルメット。遠くからでも視認しやすく、その力強い走りはかなり目に焼き付いています。シーズン中入賞できなかったのは雨で打ち切りとなったSUGOのみで、去年までのこのチームを思うとほぼ全戦入賞なんて信じられないような活躍。でも言葉の端々からその強い意思を感じることができ、それを思うと納得の好成績なんですよねぇ～。
F1で走りを映像で見てファンになったドライバーは多々いますが、この福住選手のように情報の少ない現地観戦の中で心惹かれたドライバーは彼が初めてでした。そんなわけで、2024年一番心に残ったのはこのマシンかもしれません。彼をきっかけにSGTを観に行ってもいいかなと思うくらい。いやー、本当に素晴らしいドライバーだと思いますね。
「ドライバーの気合を感じる！」なんて熱血解説でデータ全盛のF1中継では場違いな時もある右京さんですが、実際にろくにデータを見ずにサーキットで走るマシンだけを見ているとそうした「気持ちが伝わってくる」って場面ってありますよね？サーキットではいろいろイベントもやっていますが、現地観戦の一番の魅力はそれに気づけることかなーと思いました。
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