感動的な引退レースでした
【ミニチャンプス レッドブルRB9 M.ウェバー 2013】
ウェバーの引退マシンとなったRB9。ベッテルが9連勝を含め13勝を挙げた2013年ですが、ウェバーは1勝もできませんでした。しかし惨敗して去ったかといえばそうではなく、立派に戦って去っていったのです。
辛酸を舐めた2011年から、2012年はチームのドタバタや逐一変化する勢力図の中で2勝を挙げました。しかし2013年は一転、またもセカンドに逆戻り。チームが調子を取り戻しベッテルが9連勝を挙げた一方で、またもトラブル続きのシーズンとなってしまいます。
引退発表をしてからも続くトラブルは見ていて涙を誘うものがありましたし、本人も無線で何とか走りたい意志を伝えていましたね。最終戦はチームオーダーで優勝して引退できる状況だったのですが、チームはベッテルの9連勝を優先しました。2位で終えるのはなんともセカンドらしい……。
RB9からインフィニティとパープルが強調されるカラーリングになりましたが、「レッドブル感」は減ってしまいました。参戦当時は豊富な資金に物を言わせスてポンサーロゴを一切掲載せず、レッドブル一色だったマシンも当時はルノーのセミワークス状態でしたね。まさにこの世の春を謳歌していたような独走時代でしたが、まさかこの翌年からあれほど壮絶な罵りあいを繰り広げることになるとは誰が予想できたでしょう。
引退を表明しての最終レースを優勝で終えたドライバーは一人もいません。ウェバーは快挙まであと一歩だったものの、ベッテルという偉大な壁が最後まで立ちはだかりました。散々揉めて不仲だった2人ですが、ウェバーも最後はベッテルの才能を認めていましたし、盟友アロンソとの表彰台で終えられていたことを喜んでいましたね。ペイドライバーや育成、2世ばかりになる現代F1では、彼のような苦労人はもう現れないかもしれません。「チャンピオンにはなれなかったが同等の実力はある」という本人の弁は、まさにその通りだったのではないかなと思います。
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