助けた男
【ミニチャンプス フォースインディアVJM11 S.ペレス アゼルバイジャンGP 2018】
シーズン唯一の表彰台を獲得したアゼルバイジャンGP。後のチームと彼の展開を思えば奇跡のような一戦で、まさにチームを救う活躍でした。
2018年のフォースインディアはオーナーの国外逃亡などからチームの資金事情が非常に苦しく、まともな開発が進まないまま前半戦を戦うことになりました。入賞しても下位でギリギリというパターンが多く、過去数年中団の雄として活躍した姿は鳴りを潜めていましたね。それゆえにアゼルバイジャンGPでの3位という成果が光ります。
シーズン中盤にいよいよ財政破綻の危機が迫ると、ペレスはドライバーとしてではなくチームの債権者の一人としてチームを救うことを求められます。ドライバーながらチームに対して訴訟を起こし、管財人の管理下の元で組織の解散を防いだことでチームは存命を図り、ストロール家の買収によって新たな道を進むことが可能となりました。
スポンサーを見てもBWTが目立つくらいで、あとはペレスのメキシコからの持ち込みや支払いされたかも怪しい旧オーナー関連のものが数多く目立つVJM11。前半戦はこのチームに珍しい失敗作という印象が強いですが、資金問題が解決した後半戦は両ドライバー揃って頻繁に入賞するなど力強い成績で、前後半で印象が大きく変わる一台です。
一ドライバーながらチームの存続問題にまで関与することになったペレス。マクラーレンを追われこのチームに拾われた恩もあるとは言え、本人曰くこの問題には本当に関わりたくなかったとのこと。チームスタッフから行動を起こすことを懇願されるほど慕われていたようで、ドライバーとしては成績の向上はもちろん、マクラーレン時代とは全く異なる円熟した大人になっていたことは明らかですね。
彼の救済によってチームは存続され、ストロール家の資本の元でレーシングポイントチームを経て、ワークスの名を冠したアストンマーティンF1チームまで昇華されていくことになります。
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