おじさんのポケット

【ミニチャンプス ザウバーC29 P.デラロサ 2010】
F1参戦は2006年以来、フルタイム参戦に至っては2002年以来と久々の復帰となったデラロサ。大ベテランは前途多難なチームを支え、可夢偉選手の指南役となりました。

BMWの撤退で混迷を極めた新生ザウバーの船出、開幕10戦で2台合計13回のリタイアという深刻な状況でしたが、彼の経験もあってか徐々に成績が向上し可夢偉選手の入賞も増えました。
また長年のマクラーレン在籍経験を活かし、彼らが生んだトレンドデバイス「Fダクト」をライバル勢では最速の2戦目から導入するなど、外から見ても彼の知見は確かに役立っていたように見えました。

シーズン中はたびたび可夢偉選手のインタビューにも登場し、「おじさんのポケット」から繰り出される小技で簡単にタイム差が広がらないとコメントされていた記憶があります。シルバーストンの観客の旗で風向きを知るエピソードとかここでも出ていたような。
リザルト的には惨敗ながら、頼れる大先輩という感じで新人が大混乱の復活チームで戦うために必要なチームメイトだったように見えました。安心感がありましたよね。

予選では可夢偉選手と互角に渡り合いペースを見せたデラロサ。しかしとにかく入賞に縁がなく、荒業で入賞を重ねる新人相手に差がついてしまいました。
圧倒するほど新人相手に十分な成績ではなかったこと、加えて「可夢偉の実力を確かめるため」にシーズン後半はシートを失い、より実戦経験豊富なハイドフェルドに席を譲ることになります。

結果的にそのハイドフェルドも可夢偉選手に負け越しデラロサ自身の実力不足ではないことが明らかになりましたが、翌年はフル参戦での残留とは至りませんでした。その後2011年のスポット参戦を挟み、12年には41歳にして同郷スペインのHRT最後のドライバーとしてフル参戦。この1年を最後にドライバーキャリアを終えます。
引退後はフェラーリ・アストンマーティンで開発・アドバイザー職を歴任しますが、今思えばシューマッハ復帰からアロンソ・ハミルトンに続く近年のおじさん躍動世代の一人だったような気がしますね。
弱小HRTの思い出。そこらのドライバーキャリアより寿命の短いチームの儚さはなぜか心に残ります。
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