孤軍奮闘
【ミニチャンプス アルファタウリAT04 角田裕毅 2023】
コロコロ変わるチームメイトの傍らで大黒柱の活躍を見せた2023年の角田くん。ドライバーとしての力強さを感じた一方、マシンの競争力のなさにもどかしさを感じる一年でした。
開幕戦を11位完走と入賞まであと一歩届かなかった角田くん。この年のアルファタウリはとにかく速さが無かったので、この位置でも十分大健闘と言える結果でしたよね。3名いたチームメイトが計2回しか入賞しなかったのに対し、角田くんは7度の入賞でコンストラクターズ争いに大きく貢献したものの、記録に残るような結果を残すチャンスはほぼありませんでした。
この年のアルファタウリは上位マシンを相手に博打な戦略でポジションを上げ最後はドライバー頼みで順位を死守、なんて戦い方だったので角田くんはかなり過酷な戦いを強いられていたと思いますが、巧みなブロッキングで期待に応え序盤戦は10-11位あたりの入賞圏内ギリギリでの完走を続けてくれました。それでも得られるリターンはせいぜい1ポイント、そしてスペインGPのように入賞圏内完走もペナルティで後退なんていう報われないレースもあったので、本当に一年間心折れずによく戦い抜いたなと思います。
チームのリブランディングでアルファタウリとしての最終マシンとなったこのAT04。例年ブランドロゴを大々的に打ち出すかっこいいカラーリングが続きましたが、ネイビーベースのこの年は歴代アルファタウリで最もかっこいいと思うデザインでした。それだけに成績が最高位7位(しかも角田くんが予選でサポートしたチームメイトが記録)とは、なんとも悲しいです……。
指標となるべきデフリースは全く比較にならず、新たな指標として来たリカルドは怪我で早々に離脱、変わりの新人ローソンは爪痕を残そうとチームメイトへバトルを仕掛ける状態だったので、角田くんはチームメイトからの支援に恵まれず、マシンの改善も作戦の改善もなく、本当に孤軍奮闘だったと思います。ただミスが減り安定感が増したことが目に見えてわかるシーズンで、アメリカGPでのファステストラップ記録、最終戦アブダビGPでの恩師トストに捧げる8位完走DoD獲得など、終盤戦はレベルの高いレースを見せてくれました。
「あとはマシンさえ良ければ結果が出るのは時間の問題だろう」という成長を見せていたので、2024年序盤の大活躍はこの年の善戦を思うと驚きではありませんでしたよね。2023年は結果が出なかったもののドライバーとして熟成された一年だったなぁと思います。
すっかり懐かしい角田くんのデビューマシン。衝撃的な開幕戦から安定したミスのない週末が達成されるまで長い長い道のりだった2021年シーズンですが、この2023年についにその課題が解決された気がしますよね。
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